和食を簡単に!

ちょっとした「コツ」や「黄金比率」で簡単に作れる和食のご紹介

寿司屋考察② ~食べる順序や食べ方

寿司考察シリーズ第2弾として、食べる順序や食べ方を書いていきます。

今回の事柄は、高級店や町の寿司屋さん共に共通項かなと考えています。

 

寿司屋の暖簾をくぐる

知人馴染みの寿司屋へ知人と共に行く場合と、一人で気になる寿司屋へ行く場合

 

どちらが緊張しますか?(お金持ちは緊張しないかもしれませんね)

 

圧倒的に一人で新規の寿司屋へ行く方が緊張すると思います。

 

今は店側もHPやSNSを多用し、店内情報をどんどん開示しています。

およその店の雰囲気や職人やお品書きの金額などが明確化されます。

その事によって

  • どんな人(職人)がいるのかな?
  • 幾ら財布にあれば大丈夫かな?
  • カードは使えるのかな?
  • 服装は?

等の、一昔前ではある意味で不透明だった心配事がなくなりました。

 

それでも、初めて入る寿司屋には何故か緊張してしまうものです。

 

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20数年前の事です。

私の勤務していた割烹店は、従業員用に寮を用意してくれていました。

その寮へ行くには、駅から15分ほど歩かなくてはいけません。

勤務後電車を乗り継いで帰宅するので、世間的には深夜の時間帯となります。

 

寮がある地域は、あまりガラの良い街ではなく

帰宅までの道中では仕事以上に神経を尖らせていました。

そんな毎日の帰路、寮の近くに一軒の昔ながらの街の寿司屋があり

ずっと気になっていました。

 

私は生家が寿司屋です。

それに加え、自分自身も和食を学んでいる身という自負もあり

寿司屋に対してはあまり敷居が高いという思いがありませんでした。

 

それでも

 

今度の休みに行こう! 

 

を何週に渡っておもった事か・・・

 

やはり敷居が高かったのでしょう。

 

そんなこんなで、決意から暖簾をくぐるまでにはひと月ほど掛かったのです。(笑)

 

その寿司屋は夫婦で営んでおり、L字カウンター7席のテーブル席が2卓の

こじんまりしたお店でした。

私を見るや

「いらっしゃい! 一人? 」

と奥さんが声をかけます。

 

続いて大将も私をみて

「カウンターにどうぞ!」

と席に誘導してくれます。

 

私は昔から童顔で身長も平均男子以下です。

その様な外見ですので二十歳そこそこでも、高校生に間違えられる事もしばしば・・

パチンコに行っても、競馬場に行っても必ず警備員からチェックをされました。

 

今の私でも、そんな童顔の若い子が寿司屋に一人で来店したら

あれ? 

お客かな? 店、間違えてないかな?

と思ってしまうでしょうね。

ましてや20数年前の寿司屋ですので、その様に思われても仕方ない筈。

 

まぁ~ 寿司屋のご夫婦(50代半ば)がどのように思ったのかは

今となっては知る良しもありません。

しかし、気持ちよく席に案内して頂けたことは今でもしっかり記憶してます。

 

席に着くと大将から

「飲み物は?」 と聞かれ

即座に 「瓶ビール」と注文。(二十歳は過ぎています)

正直、暖簾をくぐるまでが緊張ドキドキだったのです。

店に入ればそこまでの事はなかったです。

 

奥さんも大将も初めの内は

大丈夫かな?(年齢もお金も)と心配はしていたと思いますが、

私も自分の仕事も、ここに来る経緯も全てカウンターで話をしましたので

お会計の際には安心されたと思います。

 

 暖簾をくぐるお客様も、暖簾を守る店の従事者も

「初めて」には何かしら緊張はあるものなのです!

 

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昨今の大将お任せコース00000円のような、店主導の鮨屋とちがい

一般的な寿司屋は”お好み”で注文できるようになっています。

 

この”お好み”は非常に面白いもので

注文する人の「性格」や「嗜好」が大きく反映します。

大ネタばかりを注文する人や、光物を中心に「職人の仕事」を好んで注文する人

中には適当に一渡り握ってよ!と手馴れた人など様々です。

寿司の頼み方 

 

カウンターの中にいると様々な事を質問されます。

 寿司の食べ方への質問

「お寿司って食べる順番はあるの?」

 

「お寿司の食べ方ってあるの?」

 

などの、寿司屋ならではのマナーについて聞かれる事が多くありました。

 

私の回答は

  • 食べる順番は? ⇒ ありません!好きな寿司を好きに召し上がって下さい。
  • 食べ方は?   ⇒ たった一つだけ!握ったネタを剥がすのはNGです。

そんな感じですね。

 

そもそもが、寿司自体そんなに

 

しゃっちょこばって食べる物ではない!

 

そう思っています。

 

一つの提案として

味の薄いネタから食べ始め、中盤に酢〆をもって行き、終盤に大ネタで閉める

という食べ方もあります。

理由は

味の濃い大ネタ(大トロ・うに・いくら・煮穴子等)の次に

淡い味わいが持ち味の白身の寿司では、味わいが霞んでしまい

 

ちょっと勿体無いかなぁ~

 

との思いからです。

中盤に酢〆をもって行くのは、舌をリセットする為です。

 

それと箸で食べるか?、手でつまむか?について

寿司は発祥の時点では、手でつまみ食べるものでした。

その流れから言えば、手でつまむ物と思われますが

江戸時代においても、お座敷寿司(高級)では箸で食べさせていた店もあります。

まぁ~現代と同じ「庶民」もあり「高級」もありと言う事ですね(笑)

 

回答は

どちらでも良い!

 

むしろ握り手(職人)が、初めの一貫でその事を察知し

つまむ用に握るか? 箸用に握るか?を判断しなければならない事なのです。

寿司職人がすべき仕事なのです。

 

これに派生するのが醤油の漬け方です。

寿司に醤油をつける場合

ネタ側に醤油をつけるのか?シャリ側につけるのか?

先ずは軍艦寿司の場合(主にうに・いくら)

寿司を注文すると、必ずガリと呼ばれる生姜スライスの甘酢漬けが添えられます。

そのガリに醤油を少し浸けたら、ネタにチョンチョンと醤油を浸けてあげましょう。

そうすると品良く召し上がれると思います。

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握り寿司の場合は少しテクニックが必要です。(箸で食べる場合)

  1. 箸で寿司ネタが右側になるように倒します(右利きの場合)
  2. 箸で寿司を挟みます(箸・シャリ/ネタ・箸)
  3. 寿司の先端に醤油をつけ口に運びます

一見品良く見えるこのやり方は、不慣れな方には少々難しいと思えますし

私には腑に落ちないと思う事もあります。

 

理由

寿司の握り具合によっては、横に倒した際に寿司が崩れる可能性があります。

座りの悪いネタで海苔で絞めてない握り(あわび・茹で蛸・玉子焼き etc)

職人がわざわざ縦に置いた握りを、何故横に倒す必要があるのか疑問です?

 

ならば始めから横に置けば良い!

 

しかしそんな事をする寿司屋を私は聞いた事がありません。

加え、挟んだ握りを醤油まで運ぶ際の箸加減が難しく、

最悪 醤油皿の上で寿司が崩壊し醤油が撥ねお召し物を汚してしまう事もあります。

本物の寿司職人の握り又は、余程箸で寿司を食べ慣れた方以外はお勧めしません。

 

この手の食べ方は、”煮切り”と呼ばれる仕込み醤油をあらかじめ握りに塗ってから

お出しする寿司屋(鮨屋)で行うのが無難です。

 

世界中に様々な料理がありますが、素手で握った生魚とご飯をそのまま食べさせる

料理はそうあるとは思えません。

素手で握った寿司なのですから、素手で食べる事は何も変な事ではないでしょう。

(一部日本の寿司店と世界基準では、ビニール手袋をつけて寿司は握られます)

手で食べる場合(1)

  1. 親指と中指で握りを軽くつまみ、人差し指はネタの上に添える
  2. 手首を返し、ネタに醤油をつけたら口に運ぶ

手で食べる場合(2)

  1. 親指と中指で握りを軽くつまみ、人差し指はネタの上に添える
  2. シャリの先に少々の醤油をつけ素早く口に運ぶ

 

 

 

しゃっちょこばって食べる物ではない!

 

寿司屋でのマナーと言われている多くの事は、店にいる他の人への配慮から

派生した物であり、それはどのジャンルの料理にもあると思います。

 

ただ知らない事で他の客から白い目で見られたり、寿司職人から下に見られたりする

心配がその業界の敷居を高くし、客が離れていく要因の一つではないでしょうか?

 

一歩自分の携わる道から離れたら、世の中は知らない事だらけ

 

まだ寿司屋に不慣れなお客様には、店側がそっと気を配ればよいだけの事なのです!

そしてお客様は、寿司屋業界としてのお客様になって頂くのです。

そのようなお客様は生涯馴染みとして付いてくれ、店を支えてくれます。

 

店側も、お客様によって支えられ成長して行くものです。

 

結局は、人と人なのです!

 

最後に

この記事が皆様の「寿司はむずかしい」の崩壊への一助になれれば嬉しく思います。

長々書きましたが、最後まで読んで頂きありがとうございます。

 

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