平政(ヒラマサ)の旬! ぶりとの違いは?
今回は、ヒラマサとぶりの違いについて書いて行きます。
ついに7月になり、1年の後半へ突入しました!(2日)
7月を和食では「文月」(ふみつき)と記す事があります。
諸説色々あります。
短冊に願いや詩を書き記す行事が7月あり、その事に因んで当てられた説
との記載が多くありますが、
そもそも旧暦での7月といったら現在よりも1ヶ月ちょっと遅いのです。
そうすると、9月初秋になりますので、7月7日の七夕とは時期がずれます。
そこで
9月初秋に辺りにあった風物として
稲の穂が含む時期 ⇒ 稲穂含み月 ⇒ 含み月 ⇒ ふみつき ⇒ 文月
になった説かな?と、私の中では思っています。
そんな文月には、高級な魚介が数多くあります。
その中でも私のお気に入りはヒラマサ!
皆様、ヒラマサをご存知でしょうか?
すみません・・・画像的に非常に分かりにくいのですが、奥がヒラマサになってます。
どちらも天然一本釣り物です。
とかく、鰤・ヒラマサ・カンパチは混同されやすく、我々プロでも見分けが付き難い。
ですが各々特徴がありまして
見分け方(鰤 ・ヒラマサ)
口角が角ばっている ⇒ 鰤 口角が丸くなっている ⇒ ヒラマサ
アイライン(黄色の線)の下に胸鰭 ⇒ 鰤 上に胸鰭 ⇒ ヒラマサ
尾の付け根が広い ⇒ 鰤 Vの字の如く ⇒ ヒラマサ
そして身に関しては、一目瞭然なほどの違いがあります!
白っぽい身がヒラマサ 赤っぽい身が鰤です
天然の鰤ゆえ、身に赤みを帯びています。
これが養殖の鰤(大方5kg未満が出回る)になると、ヒラマサ同様に白っぽい身
になり、しかも鰤糸線虫といった寄生虫の存在もなくなります。
ちなみに鰤糸線虫は人間には無害です。
・・・ただ見た目がちょっと・・・
写真はありますが、あえてUPしません。
ご興味のある方は、(ぶりいとせんちゅう)でお調べになられるとご覧いただけます。
何故見の色が違うのか?
身の色の違いは何故あるのかというと
赤見を帯びた魚 ⇒ 長時間泳ぐ為の、持続力のある筋肉(マラソンランナー)
白見を帯びた魚 ⇒ 短時間移動の瞬発力のある筋肉 (短距離ランナー)
筋肉内に含まれる毛細血管の数量に関連しています。
(詳しくはまたの機会に書いて行きます)
鮪は寝ずに泳いでいられるのも、毛細血管に含まれる酸素量が関係します。
(実際はほんの数秒寝ている!といった研究結果もありますが・・・)
魚は鮮度が命!という言葉をお聞きになった事はありませんか?
確かに鮮度は刺身で食べるなら、絶対不可欠な要素ですが
「美味しい」となれば、そうとばかりは言えないのです。
イメージ
釣りたて = 鮮度が良い = 美味しい
ところが
鮮度 = 安全で美味い のは
主に貝類 続いて、光物(鯵・鯖・鰯・秋刀魚等) ・養殖の魚・小魚類・蛸・烏賊
魚体の大きさが大きくなるほど、釣りたてよりも日を置いたほうが旨みが増す!
魚種によっても若干変わりますが
魚の旨みは大きく分けて
グルタミン酸は大抵の魚に元から含まれているので、時間経過との関係は薄いです。
もう一つの
この成分は、死後直後から徐々に増えていきます。
少し前に魚の筋肉のタイプを書きましたが、それに関連しているのです。
イノシン酸は、鮪や鰹、ブリ等の身が赤っぽい魚に圧倒的に多く含まれています。
常に運動量がありマラソンランナー的の魚に該当します。
その身の味は、鉄と酸味が感じる旨みです。
理由は
常に運動するには、持続的に多くのエネルギーが必要になります。
エネルギーを作るには、原料を供給しなければなりません。
その原料供給のパイプラインが血液になります。
その事により、毛細血管が多く鉄分と酸味を感じやすくなるのです。
逆に平目やら鯛といった白身の魚には、最初から多く含まれているわけでなく
死後からじわじわと増えていく成分です。
白身系の魚の旨み成分構造については、また別に書いて行きます。(解糖・乳酸)
このように、鮮度=うまい といかない場合もあるのです。
とある超高級鮨店では
鮪などの大物は、発泡スチロールに氷をぎっしり詰めこんだところに
しっかりとビニール袋で包装された鮪のコロ(15K位)を入れて保存。
店主である鮨職人が「美味い!」と判断するまで寝かせておく!(熟成)
この鮪は10日間寝かしたそうです。
(寝かす期間は、サイズや部位、品質によってもかなりの差がでます)
何が何でも寝かせれば美味くなるわけではないのですが、魚によっては寝かした方が
美味くなるという事を知っておくと
より美味しい魚を味わえると思います!
こちらのヒラマサの握りは、卸してから4日間寝かせたものです。
皆様の食卓にお刺身やお寿司が並んだときに、
「ん? こいつは寝かせてイノシン酸を巧く引き出した物だな!」
と、某グルメ漫画の主人公みたいに振舞ってみては如何でしょうか?
卸し立ての味気の無いプリプリ鮮度抜群握りと比べ、身はしっかりしていながらも
じんわり甘味と旨みが味わえました。
魚に当てる包丁の回数を出来るだけ少なく捌き、衛生的な保存で寝かせた賜物です。
包丁つながりで
ご家庭での普段使いであれば、18cm位の包丁が扱いやすいと思います。
理由
キッチン周りの広さや、使用する”まな板”の大きさを考慮。
さびにくい素材で硬さのある鋼材である事。
MV鋼 ツバ付き三徳 180mm(刃渡り) 7,732円
我が家のメイン使用の包丁は、私が妻に去年プレゼントしたものです。
買う際に悩んだのは、長さを21cmか18cmでした。(刃渡り=刃の長さ)
私が普段扱う包丁は、大抵家庭用よりも長く・重いものばかり。
それに慣れているので、どうしても同じような物を選ぶ傾向が高くなります。
しかし使用するのは妻です。
加え、我が家のキッチン事情や女性の握力、普段扱っている食材を等などを考慮し
悩んだ結果18cm決定しました!
妻は、毎日のキッチン作業で使い続けてくれています。
(研ぐのは私の役目ですが・・・)
最後に
この記事が皆様の「新鮮だから今すぐ食べなきゃもったいない」
”おばけ”からの脱却への一考察になれれば嬉しく思います。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。