寒天について 使い方や意外な効用! 数字も大事。
今回は、寒天について書きたいと思います。
[ 目次 ]
- 寒天とは
- 寒天にまつわる思い出話
- 寒天の種類と使い方
- 寒天の良さをアピール
- 寒天を使った簡単料理
- 最後に
寒天とは
天草やオゴノリ等の、紅藻類の粘液質を凍らせ・後に乾燥させたものです。
性質的に溶け出した寒天は、38℃以下に冷すことによって固まる。
一般的に凝固材として使われるゼラチンやアガーよりも融点(85℃以上)が高く、
夏場のデザート等にも利用される。
寒天にまつわる思い出話
私が若い頃に働かせて頂いた店で、初夏になると献立で「穴子の煮凍り」が
前菜の一品に組み込まれていた時の話。
その店の主任(板長)は、献立を作成し頭の中のイメージを下の者に伝えるだけ!
献立一つ一つのレシピや、作り方を下の者に教えることはありませんでした。
まぁ、店の煮方クラスになれば大体の構成(作り方は)知っているのですが
如何せん、主任の頭の中まで理解するのは難しいものです。
献立が変わる数日前からは何度も試作を繰り返し、主任に了承をもらう確認を
されていたのを記憶してます。
ゼラチン質が多い穴子の煮汁は、水分量にもよりますが大抵は固まります。
ですが、穴子の煮汁だけで「初夏の前菜」で出すには溶け崩れる可能性が高い!
ではどうするか?
アガーが出回っていなかった時代、寒天を使い初夏の暑さから「溶けを防ぐ」
工夫をするのです。
しかしながら融点の高い(85℃)寒天では、煮凍りの特有の”つるっぬるっ”とした
食感を損ねてしまう・・・ でも使わざる得ない!
そこの調節が難しくもあり、職人の腕の見せ所!
上手く仕立てた時には
「やっぱり家で食べるのとはちがうわねぇ」
と、お客様からお代を頂戴するに値する仕事になります。
ふた昔前にアガーを置いてある板場は、ほぼ皆無であったと思います。
ですので、流し固める仕事では「寒天」を使うのが主流の為、年齢が60歳以上の
職人さんの多くは、寒天の使い方が上手な方が多いと思います。
まぁ~今時代の私でしたら、間違いなくアガーを選択しますが・・・!
寒天を扱う時期やメニューに触れる度に、当時の煮方さんの苦労が思い出されます。
寒天の種類と使い方 いずれも水分の1~1,5%分量が目安
- 粉寒天 ・・ 分量の水に加え加熱し2~3分程沸騰させる。
- 棒寒天 ・・ 水で戻してから細かくちぎり、塊がなくなるまで煮溶かす。
- 糸寒天 ・・ 水で戻し使える。 溶かす場合は、棒寒天同様にする。
注意点
・酸味のある果汁や食品を使用する時は、寒天が完全に溶けてから火を止めて
荒熱が取れてから入れていきます。
(共に煮ては、風味も酸味も飛んでしまいます)
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寒天の良さをアピールします!
・ 食物繊維が多いため、腹持ちがよくなり腸の中の老廃物をスムーズ排出する
・ 海草原料の寒天には、ぬめり成分であるアルギン酸が含まれ
コレステロールを取り除いたり、血圧を下げる効果もある
・ 今注目の成分アガロペクチンは、寒天だけに含まれる天然由来の健康成分
このアガロペクチンは抗がん作用もある。
・ 寒天の食物繊維は、水分の保持率が高いまま腸へと移動するため”お通じ”に効く
この事がお肌や健康や肥満予防に強く関連する。
・ 料理への利便性もあるが、主に健康面改善効が期待できる。
簡単ではありますが、羅列してみました。
使い方いろいろ
一度煮溶かし固めカットしたスタイル。 (使用は、粉寒天・棒寒天)
ところてん・あんみつ・みつまめ・羊羹系・酢の物・デザート系
~デザート系の用途が高い傾向にあります~
水で戻し細かくほぐしたスタイル (使用は、糸寒天)
サラダ スープ 和え物 ご飯のかさまし 等
~料理のボリュームアップ系か、食感の添え系です。
上記の寒天の良さを十二分に発揮させるなら、甘味を多く加える
デザート系よりはサラダやスープ・和え物に使用する方が効率的と思えます。
ここで、糸寒天を使った簡単料理のご紹介
糸寒天と生野菜のサラダ
- 糸寒天を水に戻します(2~3時間)
- お好みの生野菜を綺麗に掃除をし、食べやすい大きさにカットします。
- 戻した糸寒天と生野菜を軽く混ぜ合わせます。
- お好みのドレッシングを掛けば出来上がり!
糸寒天と切り干し大根の中華風和え
(上記の作り方を「切り干し大根」に変えて)
- 1・2は同じです
- 切り干し大根は熱湯に9分漬け込みます。
- 9分経ったら、ザルに打ち上げ水洗いをし綺麗にします。
- よく水気を絞り切った、切り干し大根を一口大に切り分けます。
- きゅうりを小口切りにし、軽く塩をまぶし揉み込みます。
- 揉み込んだきゅうりを水で洗いよく水気を切っておきます。
- 後は、糸寒天・切り干し大根・きゅうりを混ぜ合わせます。
- 合わせておいた、中華風タレと和えれば出来上がり!
簡単中華風タレ
材料)
ごま油 ・七味唐辛子(少々) ・白煎り胡麻(適量)
作り方)
1、鍋に、醤油・酒・味醂・砂糖を入れ90℃まで火にかける。
2、荒熱が取れたら、黒酢・ごま油・七味唐辛子・白胡麻を入れる。
最後に
現代の和食において、寒天を使用する献立やメニューが少なくなっている傾向です。
この事は、アガーやペクチンなどの比較的新しい凝固材が現れた事や
消費者であるお客様の嗜好の変化等が、影響しているのではと推測します。
しかし
日本では昔からある(およそ350年前)、素晴らしい素材である寒天!
寒天の持つ素晴らしさを、少しでも皆様にご紹介出来たらうれしく思います。
加え、この記事が皆様の健康の一助になれれば幸いです。
長い記事でしたが、最後まで読んで頂きありがとうございました。