和食を簡単に!

ちょっとした「コツ」や「黄金比率」で簡単に作れる和食のご紹介

寿司考慮③ カウンターかテーブル席か? はたまた座敷か?

 今回の寿司屋考慮では、入店したがどこに座ろうか?の話です。

  

寿司屋ではどの席に座りますか?

 カウンター? テーブル席? お座敷?

 

もし、立ち食い寿司屋であれば必然的にカウンターになります!

現代では、立ち食いの寿司屋は少数となりました。

暖簾をくぐれば目の前にはカウンターがあり、その上に付け台とショーケース

そしてカウンター内には職人がいます。

当然、テーブル席もお座敷もありません。

カウンター一本の至ってシンプルな造りになっています。

寿司屋の始まりは屋台ですので、寿司屋の基本形とも言えるかもしれません。

 

 

 

20年位前に見た寿司屋特集の本(その本自体の発行は昭和23年位)の中に

寿司屋の見栄についておもしろい話が書かれていました。

ちなみに、その本には若き頃の「すきやばし次郎」も掲載されておりました。

昨今とは営業スタイルが違っているのも時代の流れでしょうかね。

 

寿司屋の見栄

道を挟んで向かい合う寿司屋は、出前の多い日にはわざと店の入り口を開け放ち、

カウンターの上に出前用の寿司をずらっと並べ

向かいの寿司屋や道通りの人間にこれ見よがしに忙しい様を見せつける。

しかし、

出前やお客が少ない時には、埃が店に入るという理由で入り口を閉めておく。

それならば、

忙しい時でも同じ理由で閉めておかなければならない筈ですが・・・・

この一話からも

なんとなく、寿司屋には偏屈親父というイメージが想像できます。

 

実際、私の親父もお客様からは

頑固親父やら、変わった親父、偏屈親父さん 等と

”昔の寿司屋の親父像”の称号を数多く頂いておりました。

それでもコアなファンといいますか、親父を好きなお客様が多くいました。

 

親父曰く

寿司屋の板前は役者と同じ

板の前で魅せるんだ!

お客になびくんじゃなくお客に惚れさせろ!

惚れてくれたお客は大切にしろ

そして自分もそのお客に惚れろ!

義理人情を大事にしろ。

 

当時、学生時分の私には

何言ってんだ? 相手はお客さんだろ! 何偉そうにいってんだか! 

と、男親への反抗心も手伝ってか素直に耳に入って行かなかったです。

 

今、この歳になり、何となくですが

親父の言っている事の意味が少し分かるようになってきました。

 

 職人として人様に自分を売り込むのも、技量と度量あってこそ!

 

培ってきた物は人に媚びる為の物ではなく、胸を張って生きていくための物。

 

そんな事だったのかなぁ? 

 

まだまだ勉強と努力です!

  

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今は、私が本で見た50年以上前の寿司屋のような親父は少なくなりました。

しかし今でも、寿司屋の親父というとやはり気難しい人間に思われがちです。

私の見解ですが、何も寿司屋の親父だけが気難しいわけではなく、

蕎麦屋もラーメン屋も、和食も、イタリアン・中華も

 

職人の多くは皆、気難しい!  (と思う)

 

それなのに、何故寿司屋だけが気難しいと思われるのか?

 

理由

 

思い切り対面で居続けるから(カウンターなら)

 

 

ラーメン屋も基本対面ですが、帯店時間はそう長くありません。(長くて15分)

他は調理場内での事で、お客さんを目の前にしているわけでもありません。

カウンターのある店もありますが、職人がずっと目の前で対峙していることは無く

調理場との行き来があります。

 

寿司屋のカウンターでは、

見知らぬ人間同士が、ずっと対面している構図になっているのです。

そりゃ~ドキドキですよ!

 

加え、寿司屋には二つのタイプがあります。

一つ目は

お客様との会話も大事にするタイプ

 

二つ目は

お客様への会話は極力行わないタイプ

 

初めて暖簾をくぐった寿司屋で且つ、カウンター席に座ったのなら

大方二つ目のタイプに遭遇すると思います。

 

私は以前に、基本的に職人はサービス精神が豊富と書きました。

一つ目も二つ目も、お客さんとの会話に対し消極的という訳ではないのです。

 

 ただ、寿司職人にとって初めてのお客様というのは未知数

  • どうしてうちに来たのだろう?(誰かの紹介かな?)
  • 何を注文するかな?(お好み・セット・刺身でつまみ・酒 etc・・・)
  • うちに嗜好が合えばいいけどなぁ?
  • お客さんのNGワードは何かな?

等など、お客様に悟られはしませんがその様に思います。

なので、必要最低限のオーダー取り位しか会話が発生しないのです。

まぁ~様子見!といったところです。

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そのことがお客様サイドからは

  • 愛想がない
  • 気難しい
  • なにか品定めされている気分で嫌だ

などの職人、引いてはその店全体への不満に結びつく事も。

職人と相対するカウンター席だからこそ起きてしまう現象です。

しかも、お客様自身が感じる職人への第一印象もその事へ加味される場合もあります。

なんとも難しい問題です。

 

知っておくとちょっと良いかも 

寿司屋側のこれは良いお客だ!

  • 注文が明確である
  • 相性が良い(職人自慢の仕事が好き 〆物や煮物等)
  • まな板を乾かさせない(予めネタを切ってある寿司屋は論外)
  • 長く居続けない(寿司は長時間食べる物ではないので)
  • 隣席のお客に配慮ができる
  • 他の寿司屋の真似事をさせない

寿司屋側のこれは嫌な客だ!

  • 着席後なかなか注文をせずしゃべっている
  • 相性が悪い(職人自慢の仕事が好きではない)
  • 一つ一つの注文間隔がやたら長い(まな板が乾くほど長い・・・)
  • 職人が仕事中もずっと話しかけ続ける
  • 香水・たばこ・大声など隣席への配慮ができない
  • 他の寿司屋で美味しかった握りを指示してくる

これらの事は寿司屋だけの話ではない様に思えます。

 

 やっぱりカウンター席での顔馴染みになりたいなら

私のお勧めの方法!

いきなり新規の寿司屋でカウンター席に座るよりは、カウンターがみえるテーブル席

で食事をし、味わい・職人の風・値段等が自分に合うか確認する。

(合わなければ次からは他店へ)

次に

良ければ3~4回ほどテーブル席で利用し続ける

ある程度通えば、寿司屋サイドもお客様の「顔」と「嗜好」が認識できます。 

それからカウンターへ行かれる方が、両者にとって良いかもしれませんね。

すると

「いらっしゃいませ!今日は000がありますよ!」

等とこれまでの食歴から、カウンターでの会話がうまれます。

後はとんとん拍子で顔馴染み客になるわけです。

 

テーブル席やお座敷の良さ!

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私は「寿司屋 = カウンター」の構図でなくても良いと思います。

 

自身が必要とする場面での使い分け!

で、テーブル席でもお座敷でも楽しめると思います。

 

私の思う一番の良いところ(テーブルや座敷)

 

寿司の食べ方や職人の目・隣客の常連さんの目などに気を使う必要がない

 

この一点に尽きます!

 

私も客として寿司屋にいけば、必ず職人の目の動きが気になります。

そして

私も職人としてカウンターに立てば、お客様の動向が気になります。

きっと

職人もお客様も、神経を使ってしまうものだと思います。

職人が気を使うのは当然な事ですが・・・

 

 

もう一言

職人も人ですので、お客様の嗜好がわかれば仕事をしやすくなります。

仕事がしやすければ、持ち前のサービス精神が働き

お客様を楽しませたいと思い、色々お勧めを紹介すると思います。

その際は、予算的に無理ならばその旨をはっきり伝える事大事です。

 

次回の「寿司考慮」では、カウンター席に絞り書いて行きたいと思います。

 

最後に

この記事が皆様の「寿司屋での席選び」の一考察になれれば嬉しく思います。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

 

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