大根の甘酢漬け ~今の大根はみずみずしい!
大根をテーマに書かせて頂きます。
何故この時期に大根を?
大根って冬が旬ではないの?
というお声も聞こえてきそうですが、ずばり
今の旬もあります!
どの様なことか?
大雑把に書きますと、今頃の大根は3~4月頃に種をまきます。
すると5~6月頃に収穫されます。
それらを称して「春大根」と呼ばれる「時期物」として私たちは扱います。
では、もう一つの旬はというと
9月~10月頃に種をまき、12月前後に収穫される「秋冬大根」がそれにあたります。
双方の特徴は
春大根であれば、みずみずしさではないでしょうか! 若干、大根特有の辛味も
ありますが、全体的に水分量の多い大根だと思います。
サラダにしたり、さっと煮や、ピクルスにも合うかもしれません。
シャクシャクした感触がありますので、それを生かした料理が向いてます。
冬大根は成長速度が遅く、ずっしり実が詰まり甘味を含んでいますので
やはり、「煮物」や大根おろしを使った「おろし和え」、漬物などに使用することが
多いです。 この時期の大根はオールマイティーな万能選手なのですが、万能ゆえに
煮物への特化使用でいいのでは?と思います。
サラダにも合いますが、サラダであれば聖護院大根でもいいし、蕪だって良いのです。
むしろ大根じゃなければ!という使用にこそ値する素材であると考えます。
春大根を選ぶ際の注意点
春大根を包丁で切り分けてみたら、中身がバサバサで「す」が入っていた!
なんて経験はありませんか?
大根おろしで使おうにも緑緑しておいしくなかったりの経験は?
私もそのような大根を扱った経験があります。
搬入時に春大根をよくみましたよ!
春大根のチェック項目
- ヒゲは一列にきれいに生えてるか?
- ずっしり重く感じるか?
- 手に取ってみて、皮の張りがしっかりしているか?
- 葉が生えている部分の中心部をみて、トウ立ちの気配は無いか?
- 新鮮か良いものかを直感的に?
吟味して選んだ大根に打ちのめされた時は、なんて切ないものか・・・
秋冬大根にくらべると、春大根は目利きが難しいと思えます。
それでも良い大根に出会うと本当に心嬉しくなります。
そんな良い春大根での逸品をご紹介します。
ゆず風味の大根甘酢漬け
- 大根を2mm程度の厚さに切る(イチョウでも短冊でも何切りでも良いです)
- 人参は1mm程度の厚さに切る(大根と同様です)
- ボウルにザルをかけ大根と人参をさっと洗います。
- 水気を切ったらボウルに移し、酢を全体にかけます(酢洗い)
- 酢洗いしたら、手で軽く絞り再びボウルへ戻します
- 別のボウルに甘酢を合わせておき、野菜の入ったボウルに流しいれます。
- ゆずは皮の白い所を切り外し、その後に千切りします。
- 甘酢がかかった野菜の中に混ぜ込みます
- 野菜をしっかり蓋ができる容器に移し変えます。
- 一日数回、野菜の上下を入れ替える様に混ぜる。
- 3日程で出来上がりますが、5日目位の方が良く馴染み美味しく思います。
*①②で、大根と人参を合わせる場合、視覚効果を考慮すると良いです。
白の中に赤の場合、赤は白よりも量を少なくサイズも小さくする事が多いです。
お節の紅白膾も大抵そうなっているのは、その方が美しく見えるという事からです。
ゆずの皮の裏側には、写真右手側のようなワタがありますので取り除く。
ワタには若干苦味があるので、取り除かれた方が綺麗な味になります。
私は暮れの時期になりますと、柚子の黄色い皮だけを包丁でむき冷凍庫で保存
して置きます。(その年で使う分)
こうしておくと、黄柚子が無い季節でも使用することが出来ます。
皮をむいた中身は、厚めのスライスにした後に「はちみつ」に漬けたり
中身を搾り出しては冷凍で保存し、ある程度の量になったら「柚子ゼリー」として
お客様に甘味としてお出しします。
その際、仕込んでおいた「柚子はちみつ漬け」をベースにソースをつくり
柚子ゼリーに添えます。 「W柚子仕立て」←コンンビニスイーツみたいな(笑)
柚子ゼリーだけでは見た目が寂しいので、上には金粉をパラリ!して演出。
柚子を余すこと無く使う気持ちで作ってきましたが、お客様には好評価を頂いていましたので、今年の暮れも作っていこうと思っています。
*⑨⑩の段階です。 ⑪は来週明け位です。
この大根の甘酢漬けは、私の若い頃に教わったレシピから今の感覚に修正をかけ
つくっているものです。
大根甘酢漬け (旧式) (今)
- 砂糖 120g ~ 140g 100g ~ 120g
- 塩 13g ~ 15g 13g ~ 15g
- 酢 50g ~ 60g 50g ~ 60g
- 柚子皮 少々 少々
*漬け込む大根の重さで、上記の数字を何倍にするかが変わります。
*概ね、砂糖は塩の8倍量です。
また「砂糖」については今後別記で書こうと思っているのですが
かなり前の日本料理の文献に書かれている「砂糖の量」は現代のレシピ本等に
比べると遥かに使用量が多いのが特徴の一つです。
理由として考えられる事は
砂糖自体の精度が低く、相応の分量を使う必要があった。
耐久性ある保存が必要であったこと! が、主な理由であろうと思います。
その世代の親方の下にいたのが現80代辺りの親方衆で、その下にいたのが
現60半ば位の親方衆で、私達の年代は大体この世代の方の下にいた事になります。
いくつの世代を超え、現代は冷蔵機器の普及・発展があり「砂糖」への依存も
減り、ニーズも薄まっています。
その事からも「当時の教えを忠実に!」では時代とのズレが生じてきます。
行く川の流れは絶えずして しかももとの水にあらず
同じような仕事でも、時代に合わせ変化していく事は必然なのかもしれません。
仕事中に言われたことを、忘れない内に急いで書き綴ったので汚い字です・・・
若い時、仕事中は常に何かに追われていた気がします。
なので
聞いたことを素早く書いて、あとで時間があったときに書き直そう!
と、思っていてすっかり忘れていたなんて事は日常茶飯事でした。
今、改めて当時のメモ帳をみると
自分で書いたはずなのに、なんて書いているのかわからない??
摩訶不思議な現象が・・・・
良い思い出です。
それにしてもメモの下に記述してある
甘めにする ← これに時代を感じます。
最後に
この記事が、皆様の春大根を使った一品の一助になれれば嬉しく思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。