車麩で一品 (車麩の鍬焼き)
今回は麩を使った料理のご紹介です。
さて麩!
皆様はお好きでしょうか?
麩の煮物にありがちな、ふゃふにゃした食感が苦手!
という方や
煮汁を沢山吸った麩がたまらなく好き!
といった2極が私の知る範囲です。
少し麩について書かせていただきます。
種類は4種 ・・・生麩・焼き麩・揚げ麩・乾燥麩
生麩は日本料理の世界では頻繁に使われる素材です。
粟麩・よもぎ麩・胡麻麩等は特に田楽味噌をぬり焼いた「生麩田楽」
お吸い物や煮物・鍋物などには、季節の草木花を模した麩。
生麩自体を揚げた「揚げ出し」も、良くある仕事です。(生麩の煎り出し)
少し脱線
和食屋さんの献立で「揚げ出し」「煎り出し」があるのはご存知ですか?
この違いは
「揚げ出し」は濃口の味わい(濃口醤油を使用)
「煎り出し」は淡い味わい (味が薄いわけではない)
共に
出汁5~8 :味醂1 :濃口・薄口1(どちらかの醤油)+追い鰹
献立やメニューを見た際に参考になさって下さい。
麩の原材料は?
材料は強力粉と塩・水です。(グルテン形成量が多い)
(私の場合)
粉の重量に対して
水分は70%で塩は4%を目安にしています。
例)
強力粉100g 塩水(水70g 塩4g)
作り方は?
- 小麦粉に塩水をいれる
- ひたすらコネ、グルテン形成させる(20~30分)
- 一塊になったら、冷蔵庫で一時間以上寝かせる
- 寝かせた生地を水の張ったボウルに入れ揉みこんでいく
- 水を何度か換えながら、濁りがなくなるまで揉んでいく
- 水から取り出した物が「生麩の原型」となります
生麩から
- そこに、胡麻やよもぎ・粟などを混ぜ込んでいく
- それを型やラップで形成し、冷蔵庫で一時間ほど寝かせます
- 型が落ち着いてる状態で、切り分けグルテンに火を通す
- 型ごと蒸すか、用途に合わせ切り分けボイルにかける
栄養価は?
ナトリウム・カリウム・カルシウム・マグネシウム・リン・鉄・亜鉛等
が含まれており、植物性タンパク質であり「麩自体」はローカロリー。
地味な素材では有りますが、なかなかの優れ物!
作る手間と完成度と、作り上げられた製品の違いはありますが
どちらもそれだけの価値は十分にあると思います!
生麩 10本入り 3900円
内容量 125g×10本
あわ麩3本・よもぎ麩3本・ごま麩4本
京生麩セット 3980円
内容量
笹巻生麩饅頭5個・あわ麩1本・ごま麩1本
もみじ麩2本・六条麩2個
*生麩は、汁物・焼き・煮る・揚げる・蒸す!何にしても相性が良いです。
和食のみならず、中華料理への使用も可能です。
肉や烏賊の代わりにも使用されています。
それでは本題
車麩を使って一品作ります。
1:車麩はぬるま湯に3~5分ほど浸します
2:柔らかくなったら、優しくしっかりと水気を絞る
3:適度に切り分け、薄く薄力粉をつけます
4:フライパンに油を少し大目に敷き、粉を打った車麩を焼く
5:両面にしっかり焼き色が付いたら、一旦フライパンから車麩を取り出します
隠し味程度のオイスターソースを加え調味します
7:味は、少し薄いかなぁ~位でとどめておきましょう!
8:取り出しておいた車麩を、再び投入
9:車麩に打ち付けた粉の効果で、煮汁にトロミが付き絡んでいきます
10:火にかけすぎると、焦げ付きや濃い過ぎてしまう要因になるので
ちょうど良い塩梅で火から外し完成です!
考え方
私の考え方ですが、
味を吸う食材は、淡く複合的な旨みで考えていき、
味を吸わない食材は、単体でややはっきりとした味にする傾向があります。
今回の車麩ですが
どちらの方向にも向ける素材の場合は、嗜好に向きます。
車麩を淡く上品に炊くよりも、力強い味わいに仕立てる方が好きなのです。
もしお時間があれば、「車麩の鍬焼き」をお試しください。
ご飯のおかずにも、お酒のアテにもなる万能菜ですよ!
鍬焼きとは(くわやき)
日本料理の仕立て名の一つです。
昔の農作業では「クワ」が使われており、作業中の合間などで
作物や野鳥などをクワにのせ焼いて食べていた!との由来からです。
この由来を聞いたときに思ったことは
昔の人はいちいち楔から柄を抜いていたのかなぁ~
でした。
楔(くさび)とは、鍬の刃(ヘッド)と柄(木の棒)を繋ぐ部位です。
私も過去に畑作業を行った事がありますが、
さぁ~食べようかな!
で
鍬から柄を外そうにも、そう簡単に柄は抜けません。
しかも、頻繁に抜き差ししていたら木と楔部分が合わなくなり
締め加減を再調整しなければならなくなったりで、結構面倒な事なのです。
それとも
柄が付いたまま、加熱調理していたのか?
真相はわかりません・・・
私も日本料理の献立名の由来には
本当かな~??
と疑問に思う事があります。
この鍬焼きに関して、別に2つの話があります。
1つ目は
昔の日本では仏教の影響もあり「肉食」は公にすべき事ではなかった。
そこで農民は納屋に隠れ、身近にある道具(鍬)で焼いて食べていた話。
2つ目は
1つの道具で始終済ます事への言い訳です。
どういう事かというと
日本料理は丁寧な仕立てであるべき!
との風潮を、お客さん側も料理人側も持ち合わせており
鍋一つで「焼く」「煮る」の2つの作業を行うのは
横着者の仕事と下げられていた。
ですが、効率の良い仕事であることは間違いなし!
そこで
昔の農家さんの話を用い、仕事を正当化しようとした話。
由来とは、少し曖昧な方が楽しいかもしれません。
想いに馳せる
料理をより楽しめるエッセンスですね!
最後に
この記事が皆様の「麩で料理」の一考察になれればうれしいです。
最後まで読んで頂きありがとうございました。