冷やし炊き合わせ
冷やし炊き合わせ 各種のご紹介
今回は前回にUPした「冷やし炊き合わせ」の”各パーツ”の作り方をご紹介します。
こちらの炊き合わせは
茄子 ・南瓜 ・人参 ・冬瓜 ・モロッコ隠元 ・プチトマト ・黄色ズッキーニ
肉味噌 ・美味だしジュレかけ
の9種のパーツから構成されています。
炊き合わせ
複数の食材を、それぞれの持ち味を生かした方法で別々に炊いた後、
一つの器に盛り込んだ料理。
”炊き合わせ”はそれぞれの持ち味を生かし、その上で全体の調和を整え一皿なります。
炊き合わせとは別に、多種の素材を炊き込む方法もあります。
それは、重ね煮”若しくは”煮回し”という方法です。
”重ね煮”料理の一例
「鶏丸と季節野菜、高野豆腐の重ね煮」
という料理があったとします。
作り方と提供の仕方
- 昆布出汁 又は 鰹だしと水半々出し を沸騰寸前まで火にかける
- 調味し練りこんだ鶏ミンチを丸に形成し、鍋にいれる
- 鶏丸が浮き暫くしたら、鶏丸をメンキに移す (アクを除く・沸騰はさせない)
- 鍋の出汁を一度ペーパータオルで濾す (肉の破片等を綺麗に除く)
- その出汁で面取りした南瓜を炊いていく(味はつける)
- 南瓜が炊けたら鶏丸を鍋に戻し、戻しておいた高野豆腐を鍋にいれる
- 味を調整し、高野豆腐に旨みが入ったら火から外し味を含ませる
- 提供時、温めて出す場合は小鍋で必要量を取り出し温める
- 最後に湯通ししておいた絹サヤを鍋に入れ、さっと温めから盛り付ける
重ね煮でのポイントは
素材の味わいをどんどん重ねていき、最終的な味へ仕立てていく事です。
上の料理であれば、先ずは鶏の旨みを出しに加え、その旨みを南瓜に吸わせる。
南瓜に大まかな味がのる頃に、再び鶏丸を投入し鶏丸にも南瓜の旨みを吸わせる。
そして高野豆腐みたいな、全ての旨みを吸収する食材をいれる。(鶏+南瓜)
最後の仕上げの段階で、絹サヤのような青味を加え風味を煮汁に移す。
鶏の旨み+南瓜の旨み を高野豆腐に吸わせ +絹サヤで風味をプラスする
各々出汁の出る素材を用いることで、スタート時よりもどんどん出汁が複雑化します。
出汁が複雑化するという事は、旨み成分が多重化される事になりますので
薄味の料理では旨みを重ねる”重ね煮”といた手法は有効的と考えます。
身近な例でたとえるなら
多種多様の具材がはいっている”おでん鍋”が良い例ではないでしょうか!
薄味ながらも皆それぞれの個性があり、且つ周りからの旨みを吸収する。
中には、吸収しすぎて下に沈んでしまった「店主のおかず用」として隠してある
おでん種もあったりしますが・・・・
すべての素材に一律旨みがのる”重ね煮”とは違い、炊き合わせでは個々に炊きます。
個々に炊き上げる事により、より鮮明に個の味が引き立ちます。
重ね煮は、RPGの如く主人公がどんどん強くなっていくような美味しさです。
そして炊き合わせは
日本代表のように、各々が主役でチーム構成されたような美味しさです。
それでは各々の主役を作っていきます。
茄子瑠璃煮(3日位の保存可)
- ナスに数箇所、竹串を使い刺していきます。(油が爆ぜるのを防止の為)
- 165℃に熱した油の中へ入れ火を入れる
- 火が通ったらザルにいれ、上から熱湯を回しかける(油抜き)
- 出汁5,5:濃口醤油1:味醂1 砂糖少々 鷹の爪(種は抜く)を火にかける
- 上記の出汁の中へ茄子を入れる
- 一煮立ち後、直ぐに火から外し氷水の入ったボウルに鍋ごと冷やしていく
- 茄子と漬け地が冷えたら、保存容器に入れ冷蔵庫で保存する
南瓜の含め煮(5日位の保存可)
- 一口大に切り揃え、面取りをする
- 下茹でをする。茹で上がったら氷水に落とし色止めをする。
- 南瓜を鍋に並べ、ヒタヒタより少し上くらいまで出汁を張り火にかける
- 出汁が沸いてきたら砂糖味醂を入れ、しばらく煮る
- その後に醤油を気持ち程度加える
- 煮上がったら、表水の入ったボウルに鍋ごと冷やしていく
- 南瓜と漬け地が冷えたら、保存容器に入れ冷蔵庫で保存する
*②の工程は抜きにして、”直炊き”しても問題はありません。
下茹でしない方が栄養素は残りますが、若干煮汁がにごるかもしれません。
短冊人参さっと煮(5日位の保存可)
- 人参を短冊に切ります。(煮物ですので多少厚めがいいです)
- 下茹でをする。茹で上がったら氷水に落とし色止めをする
- 出汁7:薄口醤油0,5:味醂1 を火にかけ沸いた時点で人参をいれる
- 静まった沸騰が再び沸く寸前で、表水の入ったボウルに鍋ごと冷やしていく
- 人参と漬け地が冷えたら、保存容器に入れ冷蔵庫で保存する
翡翠冬瓜含め煮(5日位の保存可)
もしよろしければ、こちらをご覧ください。
プチトマト蜜浸し(3日位の保存可)
- プチトマトのヘタ側を切り落とし、熱湯に入れた後に氷水に落とす。
- 皮がするりと剥けますので、剥いたトマトはクッキングペーパーの上に置く
- 薄蜜に漬け込む 薄蜜(水一升:砂糖250gを煮溶かす)
- やや沸騰したお湯で茹で上げた後に氷水に落とす
- 味塩水(美塩水)に漬け込む(2日位は色がもちますが、当日のみ使用が理想)
黄色ズッキーニのソテー(当日のみ)
- 厚めにスライスをし、塩胡椒を片面にふりフライパンでソテーする
- 焼き目が綺麗に付いたら、金属製のメンキに並べ冷凍庫にいれ色止めをする
- 冷えたら冷凍庫から取り出す
*盛り付ける際は、塩胡椒を振っていない面を上にする
肉味噌(半年以上)
仕込んでおいた赤玉味噌に、酒でソボロ状にした鶏ミンチを加え煮合わせる
*赤玉味噌の作り方を、その流れで肉味噌を仕込みますので
近いうちにブログでのせます。
石野味噌 京桜味噌(赤味噌) 2k 1,600円
私を含め、多くの調理場で使用されています。
(個人的には凄く良い味噌だと思います)
美味だしジュレ(5日位の保存可)
- 鍋に、出汁12:薄口醤油1:味醂1にアガー(夏場)を分量入れ火にかける
- 90℃以上になったら火から外す
- 鍋より3回り大きいボウルに水をはり、鍋をそこに入れる
- 常温程度まで下がったら保存容器に入れ冷蔵庫へ(フタは閉めない)
- 時間が経ち出汁が固まったら、衛生的な箸などでゼリーを細かくかき混ぜる
- もう一度冷蔵庫へ要れ一晩寝かせる(フタをする)
- もう一度細かくかき混ぜる
*かき混ぜる作業で一晩寝かせるのは、よりゼリー化が安定させるためです。
一回目でも直ぐに使用はできます。
*全部を細かくぜずに、あえてゴロッとした状態も残しておくのも面白いです。
ご家庭での使用は?
数種盛り込む”炊き合わせ”は、かなりの手間隙時間を必要とします。
ただ一度に全て仕込むには!の話であって
毎日のおかずに一つ二つ加えていけば、そこまで大変ではないかもしれません。
例えば”茄子の瑠璃煮”は時間の経過で、茄子の皮の黒色がぼけてきます。
商売ならばお客様にお出しするレベルではなくなりますが、
ご家庭でしたらどうでしょうか?
私が書いた保存期間はあくまで商売では!の期間です。
理由
安全性を第一におき、且つ見た目も大切だからです!
ご家庭でしたら
茄子の皮の色がぼけたら肉味噌餡かけにしてはいかがでしょうか?
相性的にはばっちりです!
色落ちした青菜や人参は、「玉子とじ」にしてみては?
冬瓜はカレー風味で食べてもおいしいです!
何かしらの作り置きが冷蔵庫にあると
ほっとする様な、早く使わなきゃ~ とせかされる様な・・・
そう思うのは、私だけでしょうか???
最後に
この記事が皆様のご家庭の料理への一助になれれば嬉しく思います。
最後まで読んで頂きありがとうございます。