土佐醤油 ~醤油にも一仕事!
今回は、土佐醤油の作り方をご紹介します!
土佐醤油という醤油をご存知ですか?
そのもの単体で売られている物ではなく、板前が独自に調味料を配合して作る
仕込み醤油 です。
使用目的としては
- お刺身
- 和え物
- 柑橘系の絞り汁を加えて、簡易ポン酢として
- 豆腐等、素材自体があっさりした素材へ
- 焼きおにぎりのタレ
- エスプーマを使った「泡醤油」
等があります。
通常使用であれば、やはりお刺身へ使うのがセオリーです。
今回ご紹介する土佐醤油は濃口醤油をベースに作ります。
もう一つ、薄口醤油をベースで作る「煎り酒」もあります。
「煎り酒」とは古来和食で使われていた仕込み醤油の一種です。
また別記にてご紹介していきます。
それでは土佐醤油の作り方
私が現在旅館で使用しているレシピです。
(もしよろしければお試しください)
レシピ ご家庭用
作り方
1:昆布をかたくしぼった布巾で軽く拭き鍋に入れます。
3:そのまま30分ほど置いておきます。
*ご家庭での分量は大体で良いと思います。
私達の場合は、良し悪しの判断をするのに「一定」という線が必要になります。
その線を基準に、ケースbyケースの仕様で仕立てていくのも仕事になります。
ですので、
あまり慎重になって作るのが「億劫」と感じるよりは
ちょっと作ってみよっかなぁ~位の、軽い気持ちで取り組まれては如何でしょうか。
4:時間になったら鍋を火にかけます。
5:90℃辺りまで中火強で温度を上げて行きます。
6:そして昆布を抜き、鰹節をドサッと醤油に入れ込みます。
7:醤油を沸かさぬ様に、鰹節に火を入れて行きます。
8:出てくるアクを除いたら、鍋を火から外します。
9:氷水の張った大なべに鍋ごと浸け込み、急冷させていきます。
10:醤油が冷めたら、鰹節をクッキングペーパーで濾していきます。
(濾した後の鰹節は捨てずに保存しておきます)
*濾した後の鰹節と昆布の再利用
土佐醤油を作る際に出た「昆布」と「鰹節」で、ふりかけ風に再利用します。
- 昆布を千切りにします。(昆布が滑りやすいので、怪我に注意して下さい)
- 千切りの昆布を水から炊いていきます
- 重曹を少量加え柔らかく煮ます。(量が多いと苦味が出るので加減して下さい)
- 柔らかく煮えたらザルに打ち上げます
- 鰹節は包丁で刃叩きし、ある程度こまかくしておきます
- 昆布を鍋に移し鰹節を加えたら、中弱火で水分が減るまで乾煎りしていきます
- 基本的に鰹節に醤油がついている為、追加の味付けは控えめにします
- 水分がなくなったら、煎り胡麻と七味少々と気持ちの胡麻油を加えて完成です
これをベースに、
シラスを混ぜ込んだり! おにぎりのおかかとして! 鉄砲巻きの芯に!
ねぎを加えて和風炒飯! 煮物に加えた”かか煮”に! 冷奴のトッピングに!
単体使用でも、何かとコラボしたりと利便性は高い常備菜となります。
しかも
冷凍保存も出来るので、土佐醤油のついでにお作りになる事をお勧めします。
9:濾した醤油は醤油の入っていた容器に移し替えます
10:目立つよう! 分かるよう!にラベルをはり冷蔵庫で保管します。
*仕込み醤油は、冷蔵庫での保管であれば数ヶ月は大丈夫です!
夏は冷蔵保管が望ましく、冬は冷暗所で暖房効果のない場所で常温保存出来ます。
旅館仕事において、⑩の目立つ!や分かる!は結構大事なポイントになります。
理由は
いつも一定の人間が、その業務にあたるとは限らないからです。
うそ! のような話ですが
高齢の仲居さんが、お客様からお酒の熱燗を頼まれました。
徳利にお酒を入れ、小鍋で湯煎にかけていると
なにやら甘酸っぱい良い香りが・・・
一人のスタッフが異変に気付き、徳利の中身を確認すると
なんと
うめ酒だった!
もう びっくりです!
お酒類は、P箱とよばれる一升瓶が6本入るケースに縦置きされています。
縦置き故に、上からの目線では分かりにくかったのかもしれません。
ラベルを確認することなく
これは熱燗用の日本酒と思い込み、徳利に注ぎ込み湯煎へ。
お客様へ熱燗の梅酒が届く事はありませんでしたが、やはり全ての人に
目立つ場所に分かりやすく表記する事は必要だと思われます。
後日談として
先ほどの話は、去年の暮れでの出来事でしたが、今でも熱燗の注文が入るたびに
「0000さん 梅酒じゃなくていいんかい?」
と話しかければ
「もう~ そんなこと言わんで」
と、職場の雰囲気を明るくほぐしてくれる
「0000伝説」の一つとして加わりました!
間違える事もある! 人間だもの!
最後に
この記事が皆様の「美味しい仕込み醤油」の一考察になれれば嬉しいです。
最後まで読んで頂きありがとうございました。