和食を簡単に!

ちょっとした「コツ」や「黄金比率」で簡単に作れる和食のご紹介

いつが旬なの? 虎魚(おこぜ)

今回は、虎魚(おこぜ)の話です。

私の業務は旅館で調理を担当しています。

一応、調理長とか料理長と言われています。

 

正直その辺はあまり関心は無く、むしろ「タカさん」と呼ばれる方が気が楽です。

業者さんにも同様にそう思えるのですが、業者さん的にはいろんな店舗に行く手前

名前では無く、肩書きで呼ぶ方が安心だそうです。

(調理人は入れ替わりが激しいので、いちいち覚えきれない場合も・・)

入れ替わりの激しい調理人環境ですので、私もこれまで一緒に働いてきた面々のついて

はっきりと覚えている人はあまりいません。

 

印象が強く残っている人の多くは、かなり荒っぽい人や、仕事にいい加減な人

お金に汚い人(借りても返さない)、顔つきに印象が強い人など様々です。

 

どちらかと言えば、また一緒に仕事をしたくない人が印象に残っています。

 

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人間ではその様なタイプが印象に残りますが、魚ではどうだったかな?

と、ふと思いついたのがオコゼになります。

 

皆さんは、オコゼを召し上がる機会はよくありますか?

 

居酒屋さんのメニューなどで時々「オコゼの空揚げ」を見かけたりしますが、

もし価格が1000円以下であれば

オコゼではなくカサゴの可能性があります。

 

はっきりいって、釣り人以外にオコゼを安価で食べる事は無理です。

ましてや活け物とあれば尚更の事!

私自身も「活けのオコゼ」に触れる機会はそう多くありませんでした。

 

このオコゼという魚は非常に醜い顔をしています

どの位醜いかと言うと

 

・・・

 

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もう 何がなんだかわからないといった感じです!

 

本当にブサイクなのです・・・

 

オコゼ(虎魚)

  • 顎口上網硬骨魚条鰭亜網新区鰭上目スズキ系スズキカサゴ亜目
  • オニオコゼオニオコゼ属   ・・・えらく長いです・・・
  • 晩春から夏が旬ですが、魚自体の旨みは冬にのる
  • 死んだ魚も高値であり、活魚は超高級魚。 

しかし、このブサイクな魚からは想像できないほど綺麗な身をしています。

その身に辿り着くまでが、オコゼが高級魚として君臨する要因なのです!

 

何故、高級魚なのか?

  • 背鰭に毒があり、刺されたら大ごとばい!(半日以上は激痛で苦しみます)
  • もともと磯魚で漁獲量がすくない
  • 頭が魚体の4割近くを占め、正味を考えると非常に割高!
  • 市場への入荷量がもともと少ない

毒鰭に刺されでもしたら非常に大変な目にあう魚ですので、安易に取り扱えない。

        ↓

すると市場に出回る絶対数が低くなり「希少性が増す」。

        ↓

捌く者もわざわざ危険を冒す必要は無く、高価で危険な魚の入荷を控える。

        ↓                             

一般客にとってますます希少性がでる。   (この無限ループです) 

 

私にとってもわざわざ入荷させてまで、取り扱いたくはない魚の代表格です!

 

そうはいっても仕事ですので

 

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お造りにて仕立てました。

 

私共旅館で働く板場にとって「今はキツイ」といった時間帯があります。

  • 朝食対応している時の電話(業者や職場の人間)
  • 夕食の準備中(夕食開始時30分位前辺り)6時開始なら5:30頃
  • 揚げ物をしている最中

この時間帯にイレギュラーで何かしらが発生すると、日々のルーティーンが狂い

体力的にも精神的にも疲れます。

 

これは、客数20人仕事でも100人仕事でも同じ事がいえます。

 

旅館の板場仕事は、ある程度時間を逆算して取り組むスタイルになっています。

お客様の夕食時間は、チェックイン時に伺う事になっており

その時間を逆算して、前菜は何時から盛り込もう 出汁はいついつ仕掛けよう

と各ポジションを担当する者が各々頭に入れて仕事に取り組みます。

 

客数が多くなればなるほど、シビアに計算をし仕事をして行きます。

 

この事について

時間も客数も分かっているなら、フリー客がくる飲食店より楽ではないか?

 

と思われる方も多いと思います。 

 

ある意味ではその通りですし、少し違うところもあります。

 

時間と客数が分かっているからこそ、その時間にベストになるような準備をする。

 

なので、 結構神経を使います。

 

今回のオコゼはまさに「今~ ・・・ キツイなぁ~」の時間帯に

オーナー直々、「3尾の活けオコゼ」で「000の間」のお客様に出してあげて!

と業務命令!

「今は一番手が空かない時間なんだけどな~・・・」

もう~

これまでの時間配分が一気に吹き飛びました。

 

オコゼは背鰭の針に猛毒があり、過去にはダイバーがオコゼに刺され死亡した

事故がありました。(*オニダルマオコゼ

オコゼを扱う際には、それだけ注意をして且つ慎重に扱わなければならず

忙しい時間にチャチャットというわけにはいかないのですが・・・

まして活け物ですので

 

心の中では深い~ため息が

 

私がオコゼを処理している間、若い子に私の持ち分をカバーしてもらい

なんとか一皿に仕立てながらの夕食突入!(既にスタートしている)

 

値段の割りに大きさが無いので「薄造りに」、そして皮は湯引きを行い添えてます。

お客様からも

「身も美味しいけど、皮のぷにゅぷにゅした食感がいいね」

と私の狙い通りのお言葉を頂き、少し気持ちが報われました。

 

やはり

旬なオコゼは美味しい魚であったようです!

 

心底、毒針鰭に刺さらなくてよかったぁ~ と思っています。

 

 

あの時間帯に持ってくるとは!!(怒)

 

最後に

この記事が皆様の「オコゼには気をつけよう!」になれれば嬉しいです。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

 

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