九州豚(産地は秘密)の柔らか煮!
今回は、九州豚の柔らか煮のご紹介です。
産地は敢て秘密にしておきます。
産地といえば、豚肉も今はブランド化が
進んでいます。
私は九州で生まれ育ったのではないので
九州にきて思った事を書いてみます。
(肉について驚いた事)
- 牛肉の質が良い(特に和牛!)
- 肉カーストなら 牛肉以外はかなり下の位置
私の生まれた地域でも
牛肉の価値は高かったです。
しかし、九州ほど牛肉料理以外の肉料理(鶏・豚)が価値として差がでる事は
ありませんでしたね。
仕入先の肉屋の社長にも聞いた事です!
「社長、こっち(九州)は牛肉が強いですね~ 豚や鶏は価値が低いのですか?」
「ん~ 確かに牛肉はつよいよね。
どうして?」
「いや~ 前に肉じゃがの肉について話の食い違いがあって・・・
私の地方は豚肉で作る物であって、牛肉は「すき焼き」とか「焼肉」なんですよ」
「わかるよ! こっちは牛肉が殆どで、
鶏や豚肉で作ると「低く」見られるかも
しれないね。」
との情報収集が過去にありました。
なので
豚の柔らか煮を作る事は、地域を考慮して控えておりました。
ですが、
まぁ~いっか!
と、本分の楽天的な気分がでましたのでご紹介させていただきます。
下の写真が使用した豚肉です。
重量は5kちょいとあります。
それでは作っていきましょう!
豚の柔らか煮の作り方!
材料
- 豚肉(バラ肉)
調味料
では作っていきます。
1:豚肉を焼く大きさに合わせてカット
2:豚肉全体に焼き目を付けていきます
3:脂身側からノンオイルで焼きます
どんどん脂が出てきますので、
ペーパータオル等で取り除いてください。
理由
はねた脂でキッチン周りが汚れるのと
脂が爆ぜて火傷をする惧れがあるから!
4:焼けたら煮る用の大鍋に移します
5:別の鍋にお湯を沸騰させておき、
焼いた肉の入った鍋に注ぎます。
*油切りです!
今回は量が多いのでこの様にしていますが、ブロック肉2本位なら
金ザルに肉を置き、上から熱湯を万遍なくかけるだけで十分です。
6:今回の下茹でには、
2種類のゆで方をしてみました。
・1つは、セオリー通りに
焼いてから下茹で!
・他は、焼かずに
下茹でにしていく方法です。
下記は焼いた方 ↓
下記は焼かずに下湯でした方 ↓
7:どちらも水から茹でていきます!
時間はおよそ6~7時間。
ぐつぐつ気長に煮ていきます・・・
*豚肉を煮る時に、オカラや煎り糠を入れて煮ていく方法もあります。
理由として
- 水中濃度を高くすることにより、物質に熱が全体的に入ること
- 脂を吸ってくれる為
- 火加減を下げても高い熱効率を得られる(カレーが良い例ですね)
*おからの場合は、使用した脂を吸ったおからを炊くといった
再利用が出来ます
(私はしませんが・・・)
今回は何も加えずに水だけで、コトコトじっくり煮込んでいきました。
煮て行く時の注意点として
豚肉に限らず肉類を煮た時は、必ず肉を
空気中にふれないようにする事!
この作業は、下茹でも本茹でも同様です。
空気中にふれている部分は
不思議なほど乾いていきます。
すると、その部分だけはパサパサした
食感になってしまいます。
(煮汁に戻しても駄目ですね)
では
ふれない様にするには
- 落し蓋をする
- クッキングペーパーを被せる
- 鍋に蓋をする
私の選択はクッキングシート!
下記の写真では、写真を撮るためにシートを外しておりますが
仕上げから保存の段階まで、極力肉に空気をふれさせない様に気をつけています。
8:7時間近い下茹でで十分柔らかくなった肉を一晩寝かせます。
9:下記の写真は翌朝。
煮ている最中も余分な
アクや脂は取り除いていました。
が、
これだけの脂が硬化しております!
うひゃ~ って感じですね~
(寝かせている時も、空気にふれないようにクッキングペパーを被せています)
本茹でと参りましょう!
10:硬化した脂をしっかり取り除き鍋に入れます。
煮出し配合
水6:酒1:濃口醤油1+黒砂糖・白砂糖
今回は黒砂糖を加え、
少しコクと風味をプラス。
11:じっくりいきます!
上記の配合でおよそ2時間
途中で水位が下がってきますので、水を加え常に一定の水分量を保つ!
*水位が減っても醤油の塩分量が
減るわけでない
ので、加えるのは水だけです。
12:ひたすら煮ていきます
余分な脂やアクを丁寧に取り、
じっくりと煮ていきます。
水分量は、肉の上面が隠れている程度
あればOKですので
煮詰まっていても問題ないです!
13:少し太目の箸を肉に刺してみて、す~っと抵抗無く刺さればOKです。
この段階でもう一晩寝かせていきます。
:
14:一晩寝かせた豚肉を柵状に
切り分け、再び煮ていきます。
すると、
再びアクと脂がジンワリでてきますので
取り除きます。
味の最終段階
基本的に7:1+砂糖ですが、
煮詰まっている
事をふまえると
現状は6:1あたりでしょう!
「豚の柔らか煮」では
若干薄い仕上がりですよね?
なので、味醂とたまり醤油を
加え好みの味にしていきます。
15:この段階は、煮締めるために煮る
ではく切断面の火を加える程度です。
後はガス台から外していくうちに
自然と煮含まれます!
16:下記の写真は煮含め前の切断面です
↓
皆様の目にはどのように映りますか?
柔らかさはもう~とろとろです!
染み込み具合はまだまだ!
(脂身の部分が染み込み具合)
後、半日から1日寝かせれば
良い感じになるのは
間違いなし!!
今回の個人的題材であった
焼いた物と焼かない物の違い(差)はあるのか?
ですが
仕上がり具合から言えば
焼こうが焼くまいが
大差は無い!!
ですね。
ただ
下茹での段階では、焼かない豚の方が1時間近く戻るのに時間がかかりました。
理由として
- 焼かない事により残存脂が多くなる ⇒ 柔らかくなりにくい
- 煮ている段階で、煮汁に脂の匂いが移る量が多く感じた。
その程度かな。
香味野菜を入れながら煮ないのか?
豚を煮る時に、生姜片・ニンニク・八角・葱の青い所 等を入れるのは
脂の匂いを隠すためだろうと思います。
今回、私は何も入れずに豚だけをシンプルに煮ていきました。
その事により「この豚の柔らか煮」は、何にでも合わせられるパーツに出来るから!
有用性を重視しての工程です。
それでも気になるなら
煮汁に香味野菜を加えた後に濾し、
水溶き片栗粉で餡に仕立てれば良い!
盛り込んだ後に、卸生姜や辛子を添えてもいいですね。
詰まる所
焼いても焼かなくても、香味野菜を加えても加えなくても
自分の好きなような仕立てで良い!
ただ1点
最初から最後まで、豚肉の上には煮汁があるようにしましょう!
きっと、手間隙時間を掛けた分以上の美味しさを味わえますよ!
最後に
この記事が皆様の「豚の柔らか煮」への一考察になれれば嬉しいです。
最後まで読んで頂き有難うございました。
ピーマンと釜揚げシラスの炒り煮
今回は、ピーマンと釜揚げシラスの煎り煮のご紹介です。
この料理をつくる経緯は付き合い・・・
野菜屋との付き合いです。
何が付き合いか?
これらのピーマンの写真を見て、皆様はどのように思われますか?
- 色とりどりのピーマンで綺麗
- 色がまちまちでどうしたのかな?
- 色変わりしてしまったピーマンかな?
等など、パッと頭に思い浮かぶものを書いてみました。
こちらの金ザルは直径が30cm、高さは25cmはあります。
調理場的に言うと、中位の大きさ!って所でしょうね。
それが掃除したピーマンで口切一杯入っています。
野菜屋が配送時に発注していない大袋を私に見せてきて
「すいません! このピーマン、000円で付き合ってください!」
「000円・・・安いは安いけど一体どうしたのさ?」
「見ての通り色がまちまちで、買い手がつかなかったんです・・」
分かります!
実は近所の方から頂いたピーマンも同様に、色がまちまちでくすみ気味。
天候による温度変化が、ピーマンの勘違いを誘ってしまう。
気温が高ければ高いで続けばよいのですが、寒暖が急だとピーマン自体が
「おっ! 気温が高いな! 熟しちゃおうかな」
と思っていたら急に気温が下がる ↓
「え~??? もう準備段階に入っているのに!」
その結果、色が中途半端になってしまう。
仕方ありませんね。
私の掲げる思いに
三方良し!
があります。
色が悪く買い手がつかなかろうが、ピーマンはピーマンなのです。
鮮度のよいピーマンです!
生産者さんがつくった品物です。
上記の記事でも書かせて頂いていますが
生産者さんの労を「見目」だけで0(ゼロ)にしてはいけない!
出来うる事で対応し、労を対価に返還させることが大切なのです。
凄い安価で購入しました。
でも、本当は今現在では必要ないものでした。
調理場原価も考えながらの仕事ですので、なんともね~
ですが
扱う以上は美味しく作ります!
選択した料理が「シラスとの煎り煮」
それでは
簡単!ピーマンとシラスの煎り煮
材料
- 釜揚げシラス
- ピーマン
- 油揚げ
- 黒胡麻
調味料
では作っていきましょう!
1:ピーマンは掃除をし2mm幅程度でスライスする
2:切ったピーマンは水さっと晒し、たっぷりのお湯で7分茹でにする
3:それを氷水に落とし荒熱をとり、軽く水気を搾り取る
4:油揚げは少し太めの短冊切りにし、熱湯をかけ油抜きをしておく
5:鍋にサラダオイルを敷き水切りしたピーマンを強火で手早く炒める
ここからはスピード勝負です!
6:ピーマン全体に油が回ったら、シラス・油揚げを投入する
7:調味料を手早く回しかけ味を決める。
8:仕上げに黒胡麻を振りかければ完成です!
*つくったらすぐに冷却にかけます(高温高湿冷蔵庫)
(色合いを綺麗に残す事と、品質保持の為)
考え方とポイント
今回のピーマン煎り煮について考えた事!
- ピーマンの色合いの変色を最大限おさえる(色を残す=特に緑)
- ピーマンを下湯でした事により、しんなりとシラスとの一体感を狙った仕様
- 濃口醤油で佃煮風にするのではなく、薄口醤油でじんわりした美味さで仕上げた
- 薄口醤油をメインとすることで、各素材の色合いを綺麗に出す
- シラスのほろ苦さ&塩気&旨みを油揚げに吸わせる事
大体このような事をテーマに、作ってみました。
同じ様な作り方で
- 下茹でしない
- 濃口醤油をベースに調味する
- シラスを油で素揚げ(煎りジャコ)にし、仕上げに混ぜ込む
この作り方ですと、ご飯のお供的なお惣菜料理になります。
最初のは、料理屋さんの付き出し辺りに向きますね。
どちらが美味いではなく、向きにあった料理であればどちらでもOKですよね!
ちなみにシラスとは
シラス ⇒ いわしの赤ちゃん(マイワシ・カタクチイワシ・ウルメイワシ等)
そして水分量の違いにより
85% ⇒ 釜揚げシラス
50~60% ⇒ シラス干し
25~30% ⇒ ちりめん・ちりめんじゃこ
15% ⇒ タタミイワシ(加工品)
混同しやすい物として小女子(こうなご)があります。
これは、メロウド(女朗人)の赤ちゃんです。
↑ シラス ↑ 小女子
写真で比較すると一目瞭然です。
シラスは白っぽく、小女子は脂が多い分やや黄色気味な体色です。
顔つきもシラスは丸く、小女子はとがった感じですね。
美味しさの比較は出来ませんが、どちら共に素晴らしい素材である事!
そして、どちら共に稚魚である事!
大切に大事に扱い、美味しく頂いていきましょう!
最後に
この記事が皆様の「ピーマン料理」の一考察になれれば嬉しいです。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
南瓜とクリームチーズのババロア風
今回は、南瓜とクリームチーズのババロア風の作り方のご紹介です。
類似した物では、「ムース」があります。
この違いはなんでしょうか?
ババロアとムースの違い
このことに関しては、本場洋菓子の国でも論議が続いています。
どのような点が論議になっているのか?
- ゼラチンを使用するかしないか
- 出来上がりの食感の軽さの定義
- アングレーズソースの使用は(黄身と牛乳を主とした物)
以上が大まかな主題です。
個人的見解ですが、両者ともにあまり製法の違いはないと考えています。
唯一の違いは、「軽さ」にあるのかな?と思っています。
「ムース」は字の如く「泡」に対して、
プディング系のババロアの方は、そこまでは軽い仕上がりになっていない物が多い。
現代和食でも「泡醤油」といった仕事があります。
同じ量の醤油であったとしても、「泡醤油」で食べた時の口当たりというか
味わいにも違いが出ていますよね。
私の感覚では、それと同じ様な位置付けで文字による表現の違いを表しています。
なので、洋菓子職人の方からしたら何言ってんだ!とお叱りを受けるかもしれませんが
大きな心で頭の片隅にでも置いておいてください。
それでは
簡単!南瓜と食いリームチーズのババロア風
材料
- 南瓜ペースト 1000g
- クリームチーズ 250g
- 砂糖 60g
- 25g(生クリーム用)
- 生クリーム 250cc(南瓜用)
- 250cc(泡立て用)
- 板ゼラチン 3枚
- バニラエッセンス 数適
あれば便利な道具
ゴムベラ
流し缶
それでは作っていきましょう!
1:生クリームに砂糖を加え、ハンドミキサーで7分立てにします。
(出来たら冷蔵庫にしまっておきましょう)
2:ハンドミキサーを使い南瓜ペーストと生クリーム・砂糖を攪拌しつつ火を入れる
3:南瓜ペーストはそのままでも食べれます。
しかし、火を通す事で砂糖を溶かし甘さの加減を図ることができます。
4:クリームチーズは常温に戻しておき、ハンドミキサーでペースト状にしておきます
(道具を持ち替えずにハンドミキサー1本で行ないます)
5:鍋の南瓜が70℃まで温度が下がったら、水で戻しておいたゼラチンを投入!
6:ゼラチンが溶けたら、クリームチーズのボウルに少しずつ加えながら
攪拌していきます。
(少しずつ入れることでダマになるのを防いでいきます)
7:南瓜ペーストとクリームチーズが攪拌されたら、
①で作っておいた生クリームを加えます。
その際に、ハンドミキサーをゆっくり上下に動かしながら全体を混ぜていきます。
8:ハンドミキサーで混ぜているために、細かな気泡が生地の中に入っています。
その気泡をゴムベラを使い潰すような気持ちでならしていきます。
10:5分程、気泡潰しを繰り返します。
するとこの程度まで減りました。
11:後は恒温高湿冷蔵庫へいれ冷ましていきます。
ん~ プラスチック板の汚れが気になりますが、内側に付いている為に拭えません。
どうしたら言いのだろう??
さて
この恒温高湿冷蔵庫とは非常に優れものです
恒温高湿冷蔵庫の特徴
- 高湿度をキープ(70~90%程度)
- 低温度帯のキープ(-2~5℃)
- 無風
端的に言えばこの3点です!
では、これらの何が優れているのか?
1:高湿度(70~90%)
⇒ 食品・食材の乾燥を防ぎ、歩留まりを減らす事ができる
食材の保水率は大まかに70%~90%です。(果物も含む)
通常の冷蔵庫の湿度は約60%。
なので通常の冷蔵庫に食品や食材を保存管理する場合、
乾燥していくことは避けられない。
高湿度保存は、食品や食材にとっていい環境であるといえます。
*高温高湿保存の場合は、食品食材の傷みを早めますので要注意です!
2:低温度帯のキープ(恒温)
⇒ 通常の冷蔵庫の場合は、庫内温度は5~6℃設定となっています。
恒温高湿冷蔵庫では、-2℃~5℃の設定です。
この温度帯はー2℃であれば肉魚が凍らないギリギリの温度帯であり
5℃では、細菌の繁殖活動が激減する温度帯です。
なので、冷蔵庫の使用目的に合わせた温度帯にしておけば
食品の品質保持期間が延びることになり、ロスの軽減に繋がります。
私の設定は2℃。
通常、野菜等は業務用の冷蔵庫へ保管しております(4~6℃)
高温高湿冷蔵庫の使い道の一つとして
少し温かな状態の仕込み品を急冷させる為に使用しています。
3:無風
⇒ この無風というのは非常にありがたいことです。
冷蔵庫の「風」というのは食品や食材の乾燥を招いてしまう要因。
無風でありことにより、表面の乾燥の心配は無くなります。
①②③とそれぞれ単体でも保存にとって有効的です。
恒温高湿では、3拍子揃っている事によっての相乗効果がある事!
調理場にとって心強い器機であるといえます。
)m
今回は、出来上がった南瓜とクリームチーズのババロア風はお見せできませんが
職員の間とお客様には良い評価を頂いております。
簡単に!とは?
今回は敢て要所をハンドミキサー1本で作ってみました。
料理を簡単に作るには、道具が無いと駄目!
では
簡単に! ってわけにはいきませんよね。
それと、1つの料理に対して使用する道具が多すぎても同様です。
いっけん、横着にみえる今回の作り方。
ですが作業順序さえ理にかなっていれば、問題は無いと思います。
こんなやり方もあるのね~
とお思って頂き、何かの際の参考になれば嬉しいです!
国産南瓜の時期ですよ
国産南瓜が美味しい季節になってきました。
私の大好きな南瓜
栄養素もたっぷり
βカロテン ・食物繊維 ・ビタミンB1、B2、C 、E ・リグナン
美味しくて栄養素もばっちり!
嬉しい限りです!
最後に
この生地が皆様の「南瓜料理」の一考察になれれば嬉しいです。
最後まで読んで頂きありがとうございました。